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遺言
人の最終の意思を尊重し、死後その意思の実現を保障するための制度を、遺言制度といい、その意思を遺言(「いごん」または「ゆいごん」)という。
遺言の自由とその制度は、法律上かなり難しい問題の一つである。そこで法律は、非嫡出子の認知、相続人の廃除とその取消し、相続分の指定、遺産分割の指定または禁止、遺贈など法定事項についてしかなし得ないものとした。
ところで、遺言は、いつでも自由に取消し(撤回)ができる。そうして後の遺言が前の遺言と矛盾していれば、後の遺言の方が有効である。
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遺言の方式
遺言は要式行為であり、民法上一定の方式が定められている。この方式に従わない遺言は無効となる。すなわち、遺言は、特別の事情があって特別方式により得る場合もあるが、普通は、@自筆証書、A公正証書B秘密証書の方式に従ってなされる。
@自筆証書のときは、自分で、全文・日付・氏名を書き、捺印せねばならない。
A公正証書のときには、証人二人以上の立会いが必要である。
B秘密証書遺言―公正証書は確実だが、秘密が漏れる心配もある。そこで、はじめから密封した遺言書を公証人に提出して自分の遺言書だという確認だけを受けておく遺言の方式である。
C病気・遭難など危急の際には、特に簡単な方式で遺言をすることが認められている。
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実際にあった事です。
山田一郎(仮名)さんは、他の御兄弟と1年以上話し合いを続けられて、遺産分割の話をまとめられました。家事調停や裁判は不要でした。よく・・粘り強く・・と考えるべきでしょう。
JDC・トウカダイロームは、その後の相続手続きを処置しました。
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相続分〔そうぞくぶん〕
共同相続の場合、各共同相続人が全相続財産の上に持つ承継の割合。もっとも、その割合に基づく具体的な持分を相続分ということもある。
相続分は、まず被相続人の遺言によって指定される。これを指定相続分という。指定相続分は、相続人の遺留分を害さなければ、どのように割りふることもできる。次に指定のないときは、法律の規定で相続分が決まる。これを法定相続分という。法定相続分は、昭和55年に改正になり、相続人が、@子と配偶者のときは各2分の1ずつ、A配偶者と直系尊属のときは配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1、B配偶者と兄弟姉妹のときは前者が4分の3で後者が4分の1である。C子、直系尊属および兄弟姉妹が数人いるときは、原則として(例外がある)、4分の1を数人で均等に割ることになる。またD代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分をそのまま受け継ぐことになっている。
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相続の承認〔そうぞくのしょうにん〕
相続が開始した後に、相続人がする相続を、受諾する意思表示のこと。
承認には、相続の効力を全面的に受け入れる単純承認と、被相続人の債務は相続財産の限度でのみ負担し、その残余財産を承継するという限定承認とがある。
承認・放棄は、相続の開始を知ったときから原則として3ヶ月以内にすることを要しそれまでの期間は自己の固有財産に対すると同じ注意を用いて、相続財産を管理しなければならない。
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単純承認〔たんじゅんしょうにん〕
相続人が、相続財産の承継を全面的に受け入れること。これによって、相続人は、被相続人の権利義務を承継することになり、あとで取消し(撤回)をすることはできなくなる。そうして、相続財産と相続人の固有財産とは完全に一体化される。
単純承認には特別の届出を必要とせず、限定承認をするか放棄をするかの期間(3ヶ月)をそのまま経過したとき、相続財産の全部または一部を勝手に処分したとき、および、限定承認または放棄をした後で相続財産の全部または一部を隠してひそかに消費したり、悪意で財産目録に載せなかった場合などには、単純承認があったものとみなされる。
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限定承認〔げんていしょうにん〕
相続人が相続財産の限度でのみ、被相続人の債務と遺贈を弁済するという留保条件を付けてする相続の承認。
限定承認は、相続の開始が合ったことを知った日(普通は被相続人の死亡の日)から3ヶ月以内に、財産目録を作って家庭裁判所に提出し、限定承認の意思を申し出なければならない。この申出のことを申述という。もし、相続人が二人以上いる場合(共同相続)には、全員が共同しなければ限定承認をすることは許されない。
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相続放棄〔そうぞくほうき〕
相続人が、相続財産の承継を全面的に否認すること。実際には、農村などで、長男一人に農家経営を承継させるために、次男以下の相続を放棄させる目的に利用されることが大部分である。
ところで、放棄は、家庭裁判所に申述しなければならない。相続の放棄があると、放棄者は、最初から相続人でなかったことになり、その者の相続分がほかの共同相続人に、また共同相続人がいないときには次の順位の相続人に承継される。
したがって、例えば、遺産900万円、妻は2分の1の450万円、子A・Bは2分の1の半分ずつ、つまり各自225万円ずつということになる。ところが、Bが放棄すると、Bは最初から相続人でなかったことになり、Aだけが子として2分の1の相続分450万円を承継できることになる。Bの放棄によって、別系統の相続人たる妻の相続分が増えるわけではない。
なお、放棄の場合には、代襲相続が認められないから、Bの子Cは、Bに変わって相続することはできない。したがって、また、子が全員放棄すると、孫が代襲相続できないから、直系尊属が固有の資格で相続人となるわけである。
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